コンクリートに咲いたバラ
私は詩集を読むのが苦手(だいたいその人にしかわからない表現や言葉で書かれているため、読んでいて疲れてしまう)なのですが、一冊だけすごく大切にしている本があります。
- 作者: トゥパックアマル・シャクール,Tupac Amaru Shakur,小野木博子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2001/09/01
- メディア: 単行本
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2Pacというと必ず付いて回るのが、「暴力的」「ギャングスタ」「レイプ事件」「東西抗争」「挙句の果てに銃殺される」と言ったような、かなりマイナスなイメージですよね。
私もこの詩集を読むまではそう思っていました。でも、これに登場するのはまだ有名になる前の2Pac(18〜20歳くらい?)、みんなのカリスマを演じなければならなくなる前の彼が自分の心に何の装飾をすることなく書いた詩なんです。
よく言われている事ですが、これを読むと確かに2Pacって多重人格だったのかもしれないなぁと思いますね。というよりは、周囲の要求に応じていろいろな自分を造り過ぎてしまい収集がつかなくなってしまった、というか・・・。
「ギャングスタラッパー」ではなく、一市民としての彼が、友情について、恋愛について、母親について、アメリカ社会について思ったままに書き綴った詩はどれも(表面上の彼のことしか知らなかった私にとっては)衝撃的だったんですが、中でも私は「孤独の奥底で」という詩が好きです。
この中で彼は”オレのなかにはふたりのオレがいる”と語っています。
This duo within me causes
The perfect opportunity
To learn and live twice as fast
As those who accept simplicity
このふたりが存在しているせいで
オレは2倍の速さで人生を歩むのさ
単純に人生を送っている奴らよりも
あぁ、だからなんだ。だからあなたはあんなに若くして亡くなってしまったんだ、と思わずにいられません。もちろん彼が亡くなったとき私は9歳だったから、全て後追いの知識なのですが。ちなみにこの詩集は、アメリカでは課題図書?だか推薦図書だかになっているそうです。