X氏


完訳マルコムX自伝 (上) (中公文庫―BIBLIO20世紀)

完訳マルコムX自伝 (上) (中公文庫―BIBLIO20世紀)

完訳マルコムX自伝 (下) (中公文庫―BIBLIO20世紀)

完訳マルコムX自伝 (下) (中公文庫―BIBLIO20世紀)

 また久しぶりにハマってしまいました。「あなたはマルコムXの主張に賛成ですか?」と訊かれた時に質問者が指しているマルコムXというのは、一般的に「暴力も辞さない・白人差別主義者の黒人指導者」というイメージだと思われます。でも実際には、晩年には彼の思想はそれまでと違ったものになってきていたという事がこれを読むとよくわかる。「肌の色を問わず、不当な扱いを受けている人々の共闘」といった感じでしょうか。上手く言えませんが。この辺りはスパイク・リー監督の映画「マルコムX」でも少しですが描かれています。
 黄色い肌をしたいちアジア人の私ですら、「アンクル・トムのままでいるのか、それとも闘うのか?」という選択を迫られている様な気になってドキドキしちゃう。かの「私には夢がある」で有名なキング牧師をこき下ろしていたりと、なかなかに興味深い本です。執筆に協力したアレックス・ヘイリーによるエピローグにも思わず息を飲んでしまう。